2007年3月10日土曜日

【輝く風】雨の街にリノ・マカニは存るのか III


落ち込んでいても仕方がないから、少し歩いてみようと気を取り直し、
通りのはずれから裏道へと入ってみる事にした。

誰もいない修理工場や朽ち果てた劇場、
乗り捨てられた錆だらけの車、ボロボロの民家・・・。
なんだか懐かしい様な、妙に気持ちが安らぐ静謐がそこには存った。

雨は音もなく降ったり止んだりを繰り返している。
人が棲んでいる気配は有る、なのに誰もいない。
ファインダー越しに見ると、
他人の視線を気にしないで気ままに暮らしているこの町の住人達のさりげなさが、
やわらかで温かい光を含んで映っていた。
ボクは思った
「太陽が輝いて風を感じる爽やかな光景だけを LINO MAKANI と考えて、
そればかりを追いかけて来たのは間違っていたかも…」と。
しかし、その時の、その心境で撮った写真は
たして「リノ・マカニ」を表現しているだろうか。
今はまだ結論に達していない。(この項終わり)

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